パリ万博の消えた貴婦人
1889年、フランス。
万国博覧会が開かれていたパリの街を、一組の母娘が訪れた。
ホテルに到着した母娘だったが、母親は体調が優れず、部屋に入るや否や倒れこんでしまった。
ホテル付の医師を呼んだが手に負えず、別の医師の応援が必要だと聞いた娘は、あわててホテルを飛び出す。
ようやく見つけた医師を伴い娘がホテルに戻ったときには、数時間が経過していた。
娘「母は‥‥母は大丈夫でしょうか!?」
しかし、従業員は怪訝な顔をしてこう言った。
従業員「失礼ですが、お客様は、元々お一人でご宿泊されていらっしゃいますが‥‥」
娘「そ‥‥そんなばかな‥‥!」
こうして、母親は娘の前から消えた。
一切の痕跡を残さず‥‥
まるで神隠しにあったかのように‥‥