物語
その昔、神々の力が眠るという、緑豊かな王国がありました。
ところが悪しき者に目をつけられ、闇に包まれてしまったのです。
そのとき、緑衣をまとった若者がどこからともなく現れ、退魔の剣をふるって悪しき者を封じ、王国に光を取り戻しました。
人々は時を超えて現れた若者を「時の勇者」と呼び、称えました。
そしてその話が語りつがれ、いつか伝説となった頃…。
王国に再び災いの嵐が吹き荒れました。
勇者に封じられた悪しき者が、地の底より這い出てきたのです。
人々は時の勇者が再び現れてくれると信じていましたが、勇者が現れることはありませんでした。
その後、王国がどうなったのか知る者はいません…。
国の記憶は消えようとも、伝説は風に乗り今も息づいています。
ある島では男の子が大きくなると緑の衣を着せ、お祝いをします。
あの伝説の若者のように、勇気を知る者になれと願いをこめて。
【取扱説明書より抜粋】
ある海賊の話
まさかよぉ、あんなことが起きるとは夢にも思わなかったぜ…。
オレらのお頭、テトラのアネキがでっけえ鳥にさらわれたんだ。
そりゃーオレたちゃ必死で追いかけたさ、猛スピードでな。
それで鳥の野郎を追いつめて、一発お見舞いしてやったのさ!
ここからずいぶん南にある、フロロ島の近くだったかな。
そしたら野郎、大事なアネキを島のてっぺんにおとしやがってよ。
オレは急いで上陸して、アネキを探したんだ。どうなってたと思う?
さすがオレらのアネキだ。かすり傷一つなく、ピンピンしてたのさ。
そのときよぉ、妙ちくりんな緑の服を着た小僧がいてよ。島に居合わせたポストマンがいうには、アネキを救ったのはどうやらその小僧らしいんだよ。
それでアネキを襲った鳥の野郎はな、アネキと間違えてその小僧の妹をさらって行きやがったんだよ。
そしたら小僧、妹を助けに行くためにオレらの海賊船に乗っけろってうるさくてよ…。オレは反対したんだよ。
だけどまた、アネキの気まぐれが始まってよぉ。
それでどうなったかって? それがよぉ…
(ある海賊が、タウラ島の酒場店主に語った話より)
【取扱説明書より抜粋】